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ヒラメは基本的にはタイと同じかたちの魚。ですがタイのように左右対称ではなく、左側は黒っぽい茶色で目が二つ、右側は白っぽい色で目はなし、といったぐあいに、からだの左右でデザインがちがいます。目のある側を上に、目のない側を砂や泥の海底にぺたりと横たえて暮らすヒラメは、いってみれば「寝て暮らす魚」。とはいえ、要はずっと「横泳ぎ」を続けているようなものなので、それほど楽な毎日ではないのかもしれません。
「縁側(えんがわ)」とは、ヒラメの背びれと尻(しり)びれのつけ根にそってついている帯状の筋肉のこと。こりこりとした歯ごたえが楽しめる人気のすしネタです。「縁側」は、もともとは日本の家の部分名称。ヒラメの「縁(ふち)」にあたる部分を、その昔、日本人がひなたぼっこをしたりネコと遊んだりした細長い板敷きの「縁側」に見立てたのでしょう。「縁側」を食べたことはあっても見たことはない、という人、意外と多いのでは?
ヒラメとカレイの見分け方といえば「左ヒラメに右カレイ」。お腹を手前において目の位置がどちらにあるかで見分けますが、左に目があるからといってヒラメだとは限りません。「ヌマガレイ」というカレイはヒラメと同じ左向き。そんな例外もあります。では、目の位置以外の見分け方は?…それは「口」です。ヒラメの口は大きくて歯もするどく、カレイは口も歯も小さい。これは、ヒラメはイワシやアジなどの魚を食べ、カレイはゴカイや小型のエビなどを食べるというエサのちがいが関係しています。
ヒラメの目は最初からからだの左側に寄っているわけではありません。卵からかえったばかりのヒラメは姿かたちもふつうの魚と同じで、目もからだの左右にひとつずつ。ところがしばらくすると右目が動きだし、やがて頭の上をまわり左目のそばまで移動してしまうのです。「親をにらむとヒラメになる」ということわざは、いうことを聞かない子どもへの脅(おど)しとして使われますが、たしかにヒラメの目の移動はちょっと不気味。効果的な脅しといえましょう。