南国ビーチでのびのび飼育
長崎ペンギン水族館
- 取材日
- 2015.11.05
どんなところ?
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世界最多、9種類が暮らす
ペンギンに特化した水族館“ペンギン王国”の名称で親しまれていた「長崎水族館」を前身とし、2001年にリニューアルオープン。国内唯一のペンギンに特化した水族館です。“自然と人の共生”をテーマに、自然環境の指標生物と言われるペンギンの生態を研究しており、世界最多の9種類約180羽(2015年11月現在)を飼育・展示しています。
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自然の海辺で
ペンギンが日中を過ごす“飼育下にあるペンギンが自然の海で過ごす”という世界初の展示を実現。水族館に隣接する海浜部をネットと柵で囲った「ふれあいペンギンビーチ」で、フンボルトペンギンが日中を過ごします。砂浜を歩き、泳いでエサを食べる、野生に近いペンギンの姿を紹介しています。
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世界最高レベルの
繁殖・飼育技術長崎ペンギン水族館で繁殖した種類数は日本最多。これまでに7種の繁殖を手がけており、独自の繁殖・飼育技術は、海外の文献に「長崎方式」として紹介されています。なかでもキングペンギンの「銀吉」は、1962年4月から2002年2月までの39年間を生き、世界最長のペンギン飼育記録となっています。
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あたたかな気候に合わせて
ペンギンたちを太陽の下で育てる世界で初めて野外展示にチャレンジした長崎ペンギン水族館。ペンギンを長崎の気候に慣れさせる工夫や、健康を第一に考える独自の取り組みについて、飼育スタッフにお聞きしました。
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自然の海で、野生に近い
ペンギンの姿を観察ふれあいペンギンビーチでは、フンボルトペンギンが砂浜で気持ちよさそうに日向ぼっこしている姿とか、水面にぷかぷか浮いている姿を見ることができます。たとえば、小魚が入ってきたらイルカ飛びをして追いかけ、潮が引いた時は岩場を歩くなど、のびのび過ごしています。お客様との間にはロープを一本引いてあるだけなので、ペンギンたちをとても身近に感じていただけます。
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地元でとれたサカナを与えています
当館ではエサやりにさまざまな工夫を凝らしています。エサは長崎近海でとれた新鮮なアジを使っていて、ペンギンの種類ごとに大きさを変えています。たとえば、キングペンギンには一番大きなアジを、コガタペンギンには一番小さなアジをあげています。また、エサはそのまま食べさせるのではなく、ペンギンに運動してもらうために私たちが動きながら与えています。
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食べすぎ注意は、人といっしょ
週に一度エサをあげない日をつくって食生活にメリハリをつけています。人と同じですけど、お腹いっぱいあげないことが大切です。エサの量も腹八分になるように調節しています。そのおかげか、当館には30歳くらいまで生きるペンギンが多くいます。野生での寿命は約20年と言われているので、すこしはこの方法が長生きの秘訣になっているのかなと思います。
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代々つづく、自然光を浴びる生活
日中は屋外の飼育場に行って自然光を浴び、夜間は屋内の飼育場で過ごす…旧長崎水族館時代からこうした生活を続けてきたペンギンがほとんどなので、現在も亜南極ゾーン、温帯ゾーンなどで自然光を取り入れています。飼育しているペンギンの7割近くが長崎生まれ、長崎育ちということもあって、現地の環境に合っているペンギンたちが多く暮らしています。
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人なつっこいフンボルトペンギン
フンボルトペンギンは好奇心が旺盛で、遊ぶのが大好きなペンギンです。ほかのペンギンたちが何かしていると一斉に集まってきて、どこかで騒ぎがあるとすぐに駆けつけてきます。ケープ、マゼランとともに温帯ゾーンで暮らしていますが、日中はふれあいペンギンビーチにも登場します。人にとても慣れているので、お客様のところに遊びに行くこともあります。
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巣小屋でちょっと一休み
温帯ゾーンの裏には巣小屋が広がっています。野生の温帯ペンギンは巣穴で生活しているので、囲いのある巣を一つひとつ置いています。3種類どれも同じ形をしていて、フンボルトペンギンの場合は数が多いのでたくさん必要です。巣小屋は休む時に使っていますが、なかには自分の居場所として陣取るペンギンもいます。巣がないペンギンは、ときどき戦いに挑むこともありますね。
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波が寄せる砂浜を再現!
世界に18種類いるペンギンの中で、最も小さいのがコガタペンギンです。開館当初はいなかった種類で、ここへやってきた時に新しく飼育場を増設しました。コガタペンギンは砂浜で巣をつくって生活するので、砂を敷き詰め、波打ち際を再現した造波装置を使って、野生に近い環境を整えました。また、今年は人工繁殖ですが2羽の生育に成功しました。タマゴを産みそうな個体もいるので、今後繁殖につなげていきたいです。
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国内最多9種類の繁殖に向けて
今年の3月に新しくヒゲペンギンが仲間入りして、当館で暮らしているペンギンは全部で9種類となりました。数も種類も増えてきている状況です。繁殖については、今年初めてコガタペンギンが成功しましたが、イワトビペンギンについてはまだうまくいっていません。ヒゲペンギンもこれから繁殖していけたらいいなと思うので、数・種類ともに、もっともっと増やしていきたいです。