- 学名:Spheniscus demersus
- 別名:アフリカンペンギン
- フリッパーの長さ:18.6cm
- クチバシの長さ:5.0~5.7cm
- 食べ物:小魚のほか、イカ、タコ
- 推定個体数:173,000羽
(2000年)
アフリカ在住、温帯のペンギン。
アフリカという暖かいところにペンギンがいることを驚く人もいるかもしれないが、 アフリカ南部には「ケープペンギン」という固有の種がいる。ペンギンの生息地は、南極から流れ出す冷たく栄養豊富な海流に沿って広がるため、アフリカ、ニュージーランドやオーストラリア、南アメリカなど南極を中心とした広い範囲にさまざまなペンギンが分布しているのだ。アフリカで唯一見ることができるケープペンギンの名前アフリカンペンギンと
呼ばれることも多いは、彼らが生息する「ケープ地方」に由来する。同じ仲間であるフンボルトペンギン属はよく似ているため、胸のラインが1本で細く、同時に顔の白い部分が多いという点がケープペンギンを見分けるめやすとなる。
重油まみれのペンギンを救え。
2000年、ケープタウン沖でトレジャー号パナマ船籍の鉱石運搬船。
140,160トンの鉄鉱石を積み、
ブラジルから中国に向けて
航行中に船体を損傷したが沈没。船から流出した1,300トンもの重油がケープペンギンを襲い、油にまみれて真っ黒になったペンギンが海辺にあふれかえった。羽毛の防水性や保温性を奪われ、飲み込んだ油によって体内からも汚染されたペンギンたちを待つのは「死」だった。そんな危機的状況の中、NGOや政府、獣医師、地元の人々、そして世界中から集まった1万人を超えるボランティアがケープペンギンの救護活動に立ち上がる。ペンギンの洗浄、手当、給餌(きゅうじ)、リハビリ、さらに油の除去や海岸の掃除まで…1カ月半に及ぶ地道な救護活動により、 約3万羽のペンギンが救われた。しかし、保護が間に合わず犠牲となったペンギンも1万羽近くにのぼっている。
歴史に記された最初のペンギン。
ペンギンの存在が記された最も古い資料は、1499年の記録だ。「インド航路」を開拓したヴァスコ・ダ・ガマの同行者が、その記録の中にペンギンらしきものを見たことを書き留めている。彼はこの鳥をソティリカイロスというウミガラスの仲間とした上で、その特徴を記載している。「ガチョウほどの大きさの鳥」「翼に羽根がないため飛べない」「ロバのように騒々しく鳴く」と。体の大きさ、飛べない体、そしてジャッカス(オスのロバ)フンボルトペンギンや
マゼランペンギンの声も
ロバに似ており、
ジャッカスペンギンと
呼ばれることがあるペンギンとも呼ばれるほどのロバに似た鳴き声を持つケープペンギンの特徴と一致する。もっともこの記録以前にペンギンに遭遇した者は多くいるはずだが、歴史的な記録上では、人間に最初に会ったのはケープペンギンとされている。