- 学名:Spheniscus humboldti
- フリッパーの長さ:16.4~17.3cm
- クチバシの長さ:6.0~6.5cm
- 食べ物:小魚
- 推定個体数:31,430~34,574羽
(2001年)
ペンギンとサボテン、奇妙な組み合わせ。
サボテンの荒野をさっそうと歩くペンギンの集団…こんな不思議な光景が南米では見られる。チリからペルーに分布するフンボルトペンギン、彼らは南米の乾いた大地に生きる温帯のペンギンで、サボテンが林立する島や砂漠の島などで繁殖を行う。ペンギンのイメージに反して寒さが苦手なタイプではあるが、だからといって暑いのが得意というわけでもない暑いと、犬のように口をあけて
はぁはぁと息をしたり、
フリッパー(翼)を広げたりして
体の熱を逃がそうとする。日本の気候でも飼育しやすいため、水族館や動物園でもおなじみのペンギンだ。 フンボルトペンギン属の外見的特徴は、胸のあたりの黒いラインだが、フンボルトペンギンはこのラインが1本で太い。さらにクチバシ周りにはピンク色の皮膚がむき出しになっていて、比較的見分けやすい。
全生息数の約1割が、日本に暮らす!?
現在、日本の水族館や動物園ではさまざまな種のペンギンを見ることができる。総飼育数は3,000羽をゆうに超えており、日本は世界一のペンギン飼育国でもある。中でもフンボルトペンギンは特別な存在といえるだろう。1915年、日本に初めてやってきたペンギンであり、また現在、日本で飼育数が最も多い70を超える施設で、
1,600羽以上の
フンボルトペンギンが
飼育されている種だからだ。一方で、野生のフンボルトペンギンたちは危機的状況にある。 人間によるエサ資源の乱獲や営巣地巣をつくる場所。
ペンギンは毎年
決まった場所に巣を
つくるものが多いの環境破壊などにより個体数が激減してしまっているのだ。そのため、日本で飼育されているフンボルトペンギンの数が全生息数の約1割を占めるという事態となってしまっている。
巣穴を掘るのは、ワケがある。
温帯に生息するフンボルトペンギン属の巣は、土壌フンボルトペンギンは
フンや死骸(しがい)などが堆積した
「グアノ」を利用するが、
肥料として大量に採掘されたため、
巣づくりの場所が失われているに掘ったトンネルのような穴につくられる。これは、上空を飛び交う天敵から 卵やヒナを守るためであるが、もうひとつ、とても重要な役割を果たしているのだ。冷たい海に潜ってエサをとるペンギンの体は、もともと熱を発散させにくい構造になっている。そのため、気温が高い陸地で長時間、直射日光を浴びていれば体の中にどんどん熱がたまっていく。そして体内の熱をうまく逃がすことができなければ、体力を消耗し、最悪の場合、熱中症で死んでしまうのだ。そんな彼らにとって、巣穴は涼しくて快適な空間。強い日差しと高くなる温度から体を守ってくれる場所なのである。