- 学名:Spheniscus mendiculus
- フリッパーの長さ:11.4~11.8cm
- クチバシの長さ:5.3~5.8cm
- 食べ物:小魚
- 推定個体数:3,600~6,000羽
(1998年)
赤道直下に暮らすペンギン。
「ペンギンは寒いところにすむ」という一般的なイメージとかけはなれた場所に生息するのが、ガラパゴスペンギンだ。ダーウィンの進化論生物には個体変異があり、
その変異は遺伝し、生存競争に
生き残ったものだけが子孫を残す
という自然選択説により、
ある種はほかの種から
進化してきたものであるとしたもので有名なガラパゴス諸島は南米エクアドルの西約900キロ、赤道直下に位置する火山群島である。温帯にすむペンギンは何種かいるが、熱帯に、しかも赤道直下で生活するのは、唯一この種だけなのだ。ときに気温が40度を超えるという環境で彼らが生きていけるのは、はるばる南極から流れてくるフンボルト海流と諸島の西から流れ込むクロムウェル深層流東から西に流れる南赤道海流が
アジア大陸にぶつかって深海に
潜り込み、赤道の海底付近を
反転して戻ってくる海流という2つの寒流が栄養分豊富な冷たい海水をもたらし、必要なエサを確保できるからである。
繁殖時期はエサ次第。
多くのペンギンは決まった時期やサイクルで繁殖を行うのに対し、ガラパゴスペンギンはその時期が定まっていない。これには、海面水温による食糧事情が大きく関係している。ガラパゴス諸島では、海流の状態が年によって異なる。エルニーニョ現象南米・エクアドルから
ペルー沿岸の
広い海域において
海面水温が平年よりも
高くなる現象により海面水温が上昇すると、エサの小魚が海の深いところに移動してしまい、ヒナを育てるために十分なエサの量が見込めなくなり、繁殖活動自体がストップしてしまう。逆に海面水温が低いときガラパゴスペンギンの
繁殖は、海面の水温が
24℃を下回るときに
多くみられるは、エサが十分に確保できるため、繁殖成功率も高くなる。つまり、彼らはエサが豊富な時期にあわせていつでも繁殖できるような形態をとっているのである。
暑さから身を守るために。
熱帯に暮らすとはいえ、エサのために冷たい海に潜るペンギンの体は、体内の熱を奪われにくい構造をしており、本来は暑さが苦手だ。そのため、彼らはいくつかの暑さ対策を用意している。てっとり早いのは、海に入ることである。寒流の流れる海は急速に体を冷やしてくれるからだ。陸上生活においては、なによりも直射日光を避ける必要があるため、生活の場となる巣は、岩や溶岩の割れ目といった日陰になる場所につくられる。また、フリッパー翼にあたる部分を広げて胴体とフリッパーの間に風を通したり、犬のように口を大きく開けてはぁはぁと息をする開口呼吸(パンティング)呼吸の回数を増やすことで
体内の熱を外へ出すを行ったりして、体の中にたまった熱をできるだけ逃がそうとするのだ。