- 学名:Megadyptes antipodes
- 別名:キンメペンギン
- フリッパーの長さ:20.6~21.5cm
- クチバシの長さ:5.3~5.5cm
- 食べ物:小魚のほか、イカ
- 推定個体数:5,100~6,200羽
(1998年)
1属1種、孤高のペンギン。
アデリーペンギン属で3種、マカロニペンギン属では6種といった具合に属ごとに仲間を持つペンギンだが、キガシラペンギンは1属で1種しかいないペンギンである。黄色い頭に黄色い目、顔つきもタカやワシなどの猛きん類を思わせるほどに鋭く、ほかのペンギンたちとは明らかに違った雰囲気をただよわせている。名前の由来は文字通り「キガシラ」、黄色い頭だ。英名では黄色い目にちなんで「イエローアイドペンギン」と呼ばれる。フィヨルドランドペンギンと同様に森に巣をつくるタイプであるが、キガシラペンギンのすむ森の多くは伐採されて農地や牧場に姿を変えてしまった。営巣地巣をつくる場所。
ペンギンは毎年
決まった場所に巣を
つくるものが多いが失われて海岸部の茂みニュージーランド
特有の植物
「フラックス」の根元
などを利用するにすむものが増えており、絶滅を危惧される種のひとつとなっている。
プライバシー優先の巣づくり。
キガシラペンギンは多くのペンギンたちとは異なり、森にすむ種である。そのことに加えて、もうひとつ決定的な違いがある。それは「群れない」ということだ。ペンギンは繁殖期になると1カ所に集まって巣をつくり、 繁殖コロニー同じ種類の生物がつくる
集団のことを形成する。集団でいることにより天敵からヒナを守れるといったメリットが生まれるからで、その規模は数十羽の小さなものから何十万羽という超巨大コロニーまで、さまざまだ。しかし、キガシラペンギンは、ほかの巣とかなり離れた場所に単独で巣を構える。なによりもプライバシーを重視するのは、ほかの巣が見える場所に巣をつくってしまうと、一方あるいは両方のつがいとも繁殖に失敗してしまうからだといわれる。
ニュージーランドでいちばん有名なペンギン。
ニュージーランドは、ペンギン18種のうち7種キガシラペンギン、フィヨルドペンギン、
コガタペンギン、ハネジロペンギン、
シュレーターペンギン、スネアーズペンギン、
イワトビペンギンの繁殖地があるペンギン王国である。キガシラペンギンやフィヨルドランドペンギンといったこの国でしか見られない固有種もいる。中でも最も有名なペンギンは、間違いなくキガシラペンギンであろう。生息地こそ南島の東海岸とその周辺の島々に限られているが、その存在は国全体に知れ渡っている。なぜなら、彼らはこの国の紙幣、5ドル札の裏に描かれているからだ。5ドル札は、日本でいえば500円硬貨くらいの身近なお金にあたる。森にすむペンギンは、ニュージーランドの人々の財布の中にすむペンギンでもあるのだ。