- 学名:Eudyptula minor
- 別名:コビトペンギン
- フリッパーの長さ:11.7~12.4cm
- クチバシの長さ:3.7~3.9cm
- 食べ物:小魚のほか、イカ、小型の
甲殻類 - 推定個体数:1,000,000羽
(1990年)
いちばん小さく、いちばん古いペンギン。
ペンギンの中で最も小さいペンギンで、体長はいちばん大きなエンペラーペンギンの3分の1ほどエンペラーペンギンが
100~130cmに対して
コガタペンギンは
40~43cmしかない。しかも一見すると、その姿はペンギンのイメージからは大きくかけ離れている。いちばん大きな違いは、歩く姿だ。多くのペンギンが直立二足歩行を行うのに対し、コガタペンギンは前傾姿勢で歩く。ペンギンの直立二足歩行は、進化の過程で後足が潜水に適した位置に移動した結果、確立されたものと考えられている。つまり、コガタペンギンは最も進化の遅れた種ということになる。また、体色や体の構造の一部が共通の祖先を持つとされるミズナギドリ太平洋、大西洋、インド洋に生息する
海鳥で、離島で繁殖する。
翼を使って水中を泳ぐこともできる類に似ていることからも、最も原始的な、祖先に近いペンギンといわれているのだ。
巣穴への侵入おことわり。
海岸の草地や岩場からやぶの中、洞窟、はては民家の庭やビルの軒下まで、繁殖時期を迎えたコガタペンギンはいろいろな場所に巣を構える。柔らかい土壌ではクチバシと足を使って地中に巣穴を掘り、岩場の場合は岩穴を利用する。巣の場所はバラエティに富むが、いずれも海に出やすい場所が選ばれており、いつも決まった場所を使用している。同じような巣穴をつくるハシボソミズナギドリが、コガタペンギンの繁殖コロニー同じ種類の生物がつくる
集団のことに紛れ込み、ときとしてコガタペンギンの巣をのっとってしまっていることがある。しかし、気性の荒いコガタペンギンが自分たちの巣穴を黙ってゆずるわけもなく、ハシボソミズナギドリが追い出されてしまう結果となる。
オーストラリアの観光大使。
オーストラリアでは、野生のコガタペンギンが観光大使として活躍している。コガタペンギンは、オーストラリア大陸やその周辺の島で繁殖する唯一の種であり、代表的な繁殖地のひとつにメルボルンの南東にあるフィリップ島があげられる。この島には「ペンギン・パレード」を見るために世界中から多くの観光客が集まるのだ。日没ごろ、エサをとって戻ってきたコガタペンギンの上陸が始まり、隊列をなして海岸から巣穴に戻る光景を見ることができる。1950年代からこの上陸シーンを目当てにした旅行客が少しずつ増え、現在ではオーストラリア屈指の観光スポット保護エリアに指定された
見学場所は整備され、
ペンギンたちの
邪魔をせずに観察できるに成長した。