- 学名:Eudyptes robustus
- 別名:ハシブトペンギン
- フリッパーの長さ:17.8~18.4cm
- クチバシの長さ: 5.2~5.9cm
- 食べ物:オキアミなどの甲殻類、
イカやタコのほか、小魚を食べている
と推測される - 推定個体数:54,000羽
(1990年)
見分けられるか?その姿。
マカロニペンギン属のうちの数種は、ひと目で見分けるのが難しい。スネアーズペンギンは特にフィヨルドランドペンギンとよく似ており、どちらもクチバシのあたりから眉のような金色の冠羽[かんむりばね][かんう]
頭の部分に生えた飾り羽根が長く伸びて垂れ下がる。スネアーズペンギンを見分けるには、クチバシのつけ根に露出したピンクがかった白い皮膚が目安となる。別名で、クチバシが太いことを意味する「ハシブト」ペンギンと呼ばれるほどにクチバシが太いのも特徴ではあるが、学名で「分厚いクチバシ[学名]pachyrhynchus」を名乗るのは先に発見されたフィヨルドランドペンギンで、スネアーズペンギンは大きくて頑丈そうなクチバシの見た目から「力強い[学名]robustus」を意味する学名がつけられている。
国に守られたペンギン。
スネアーズペンギンはニュージーランドの南、約200キロに位置する「スネアーズ島」のみで繁殖する固有種である。この島にはスネアーズペンギンしかいないため、繁殖コロニー同じ種類の生物がつくる集団のことにほかのペンギンが混在することはない。そして、この唯一の生息地はニュージーランド政府により厳格に保護されている。スネアーズペンギンはIUCN(国際自然保護連合)国家、政府機関、
非政府機関で構成された、
世界最大の自然保護機関。
1948年に設立において絶滅の危機が増大している「危急種」とされているため、特別に許可された調査・研究目的以外の人間の上陸を禁止しているのだ。しかし、守られたペンギンとはいえ、海に流出した油による汚染やエサ資源の減少といった人間活動や地球環境の変化による影響を少なからず受けているはず、安心はできないのである。
人間の侵入をこばむ、暴風海域。
緯度が高くなるほど、南極大陸周辺の海はひどく荒れていく。暴風圏が横たわる南緯40~60度は「ほえる40度、狂う50度、叫ぶ60度」と呼ばれ、船乗りたちに恐れられてきた海域だ。踏み込んだ途端、大きな波に船は揺れて傾き、船酔いする者が続出する。スネアーズペンギンが唯一、繁殖を行う「スネアーズ島」もそんな嵐吹き荒れるエリア「ほえる40度」に位置している。そして、この島への人間の上陸は特別な場合以外は許されていない。つまり、スネアーズペンギンは船の上からしか見ることができないため、よほどの天気に恵まれなければ観察することすら難しいペンギンなのである。
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